企業が倒産した場合、債権者はどう対応すべきか(二)

前回の「企業が倒産し場合、債権者はどう対応すべきか?(一)」では、債権の財産の種類及び債権が訴訟手続きに入ったか否かが債権回収に与える影響について分析した。今回は特殊な状況における権利保護措置を紹介する。

状況1:債権者と債務者が互いに債務を負う

『企業破産法』第40条によると、債権者は破産申請の受理前に直ちに相殺権を行使することができる。注意すべきことは、相殺権の悪用を避けるために、『企業破産法』第40条と『『中華人民共和国企業破産法』適用の若干問題に関する規定(二)』第41、44、45、46条では制限条件が定められている点だ。例えば、債権者が破産申請受理後に他人の債権を取得した場合など。

状況2:破産手続における落ち度の把握

『企業破産法』は債権者に質問権、議決権を与えている。ほとんどの債権者は、裁判所が介入し、かつ専門の破産管財人がいることを考慮し、何の行動を取らない。しかし実務において破産手続に落ち度がないという保証はない。自己の利益を最大限に守るために、債権者は関係状況(例えば、出資者が実際に出資したか否かなど)を積極的に把握し、必要に応じて速やかに関連権利を行使するべきである。債権者は問題を発見した場合、『企業破産法』第64条と『破産法司法解釈三』第8条に基づき、裁判所に関連決議の取り消しを請求することができる。  

状況3:債務に担保がある

この場合、債権者は直ちに保証人に保証責任を追及することができる。『民法典』第687条によると、人民法院がすでに債務者破産事件を受理している場合、一般保証人は先に抗弁する権利を有しない。『民法典担保制度解釈』第23条によると、裁判所が破産事件を受理した後、債権者は破産手続きにおいて債権を申告後、訴訟を提起し、保証人に保証責任を追及することができる。『全国裁判所破産裁判業務会議紀要』第31条によると、破産手続終結後、債権者は破産手続における未弁済部分について保証人に保証責任を負わせる場合、破産手続終結後6カ月以内に請求しなければならない。

状況4:実情に応じて、組織再編の可能性を考慮する

まだ救いの余地がある状態であれば、組織再編という特別な手段も考えられる。債務者は『企業破産法』第95条及び第105条に基づき、自主的に組織再編を申請することができる。債権者は『企業破産法』第70条に基づき組織再編を直接申請するか、又は『〈企業破産法〉施行時未結審の企業破産事件の法律適用における若干問題に関する規定』第1条に基づき、債務者が破産清算を申請後、裁判所が破産宣告を行うまでは、組織再編成手続きへの転換を申請することができる。

状況5:破産配分手続終結後、要求を満たす財産が発見された

この場合、配分費用差引後に残余価値がある場合は、債権者は配分の追加を主張することができる。『企業破産法』第123条によると、破産手続が法により終結した日から2年以内に、法定で回収すべき財産が存在することを発見した場合、または明らかに不合理な価格で取引を行う、個別の債権者に対して返済を行う、債務を虚構するなどの悪意の ある行為を債務者が行った場合、または破産者に配分すべきその他の財産があることが発見された場合、債権者は配分の追加を主張することができる。