『女性権益保障法』第3回改正、2023年1月1日より施行

『女性権益保障法』は1992年より施行され、2005年と2018年の2回の改正を経て、2022年10月30日に第3回改正案(以下『2022改正版』という)が可決され、2023年1月1日より施行されることとなった。

以下は、企業が日常管理において重点的に注目すべき条項について解読する。

1.セクハラについて

『民法典』1010条には、「他人の意思に背き、言葉、文字、画像、身体的行為などにより他人にセクハラ行為を行った場合は、被害者は法により、行為者に民事責任を負わせることを請求する権利がある。機関、企業、学校などは合理的な予防、苦情申立ての受理、調査処分などの措置を講じ、職権や従属関係などを利用したセクハラを防止・制止する。」と規定している。『2022改正版』第23条は上述の規定と一致する一方、第24条と第25条により新規定を織り込み、セクハラの予防・処置メカニズムを一層改善した。

第25条によると、雇用企業は下記の措置を講じ、女性へのセクハラを予防・制止する。

(1)セクハラ禁止の規則制度を制定する。

(2)担当機関又は担当者を明確にする。

(3)セクハラ予防・制止のための教育を行う。

(4)必要な安全保護措置を講じる。

(5)苦情申立てに対応する電話、メールボックスを設置し、有効な相談窓口を確保する。

(6)調査処置プロセスを確立、改善し、紛争を適時処理し、当事者のプライバシーと個人情報を保護する。

(7)被害者の女性が法により権利を守ることに対してサポート・支援をし、必要に応じて被害者の女性のメンタルヘルスケアを行う。

(8)その他の合理的なセクハラ予防・制止措置。

従って、企業は上述の要求に合致する職場セクハラ防止管理制度を確立すべきである。

2.女性従業員向けの特定の健康診断

『2022改正版』第31条の規定によると、企業は定期的に女性従業員のために婦人科疾患、乳腺疾患の健康診断及び女性に特に必要なその他の健康診断を手配するものとする。

3.女性就労の保障

まずは、『2022改正版』第43条の規定によると、国に別途規定がある場合を除き、企業は人員募集・採用の過程において下記の行為を実施してはならない。

(1)男性に限定する、或いは男性優先と定める。

(2)個人情報以外に、女性応募者の結婚や出産状況を追求し詳しく質問したり、調査したりする。

(3)妊娠テストを入社健康診断項目とする。

(4)結婚、出産の制限又は結婚、出産状況を採用条件とする。

(5)性別を理由に女性の採用を拒否したり、差別的に女性の採用基準を引き上げるなどの行為。

従って、企業は求人広告、さらには内部募集を行うときに、上記の禁止行為を避ける必要がある。

次に、『2022改正版』第44条の規定によると、(1)女性従業員と締結した協議書では、女性従業員向けの特別保護条項を含まなければならない。(2)集団契約では、男女平等、女性従業員の権益保護に係る内容を含めるか、関連内容について特別の章、別紙を制定する、或いは単独で女性従業員権益保護特別集団契約を締結しなければならない。

従って、企業は既存の契約、規則制度を再度確認し、上述の要求の確実な実行を確保する。

最後に、『2022改正版』第48条では、女性従業員の「三期」(妊娠、出産、哺乳)について、賃金を引き下げてはならないという従来の規定を保留するとともに、女性従業員の昇進、昇級、専門技術の職名や職務の評価に対して制限を行ってはならないという規定が新規追加された。また第49条では、職場における性別差別行為を労働保障監察の範囲に入れることが定められた。