広告における地図使用の潜在的なリスク
企業が宣伝広告において、企業規模や業務範囲を示すため、地図上に業務所在地を表示するケースがよく見られる。『広告法』第9条には、「広告に次の各号に掲げる事由があってはならない。……(4)国家の尊厳又は利益を損ね、国家秘密を漏洩する。……」と規定されており、2017年以来は、不適切な地図の使用により主管機関から行政処分を受けるケースも珍しくない。実務において、企業の多くは地雷を踏みたくないが、どうしたらよいか一知半解である。
これまでの事例からみて、企業が日常経営において注意すべきポイントは下記の通りである。
一、広告の形式。
多くの人にとって、広告についての理解は、広告会社に広告の作成や配布及びパンフレットの印刷を依頼することに留まっている。実は、『広告法』第2条には、「中華人民共和国国内において、商品経営者又はサービス提供者が一定の媒体・形式を通じて直接又は間接的にその宣伝対象となる商品又はサービスを紹介する商業広告活動は、本法の適用を受ける。……」と規定している。当該規定からみると、一定の媒体・形式を通じて直接又は間接的にその宣伝対象となる商品又はサービスを紹介する商業広告活動はいずれも広告に該当する。要するに、企業の公式ウェブサイト、ウィーチャット上の公式アカウントなどを通して発表される内容はすべて広告に該当する。杭西市監処罰(2021)101号案件において、江南布衣服飾有限公司は公式ウェブサイトにより発表した企業紹介において使用した地図が不完全だったため(使用した地図に誤りがあったため)、過料80万元に処された。
二、地図審査の要点。
まず、正確な地図の使用を確保すること。最も簡潔な方法は、自然資源部地図審査センターの「標準地図サービス」(http://bzdt.ch.mnr.gov.cn/index.html)により全国地図、世界地図等をダウンロードし、各省、市の地図は、各省、市の自然資源主管部門の公式ウェブサイトによりダウンロードする。
正確な地図を使用した上で、さらに下記の点に細心の注意を払う必要がある。
(1)地図を使用する際、「審査番号」を付ける。『地図審査管理規定』第27条には、「審査を経て承認された地図について、申請者は地図または地図を使用する製品の適切な位置に審査番号を目立つように表示しなければならない」と規定している。
(2)合法的な審査を経た地図を正確に使う。具体的には、①塗分け、区分け、テキストの追加、削除、修正など地図の無断変造をしない。②基準とは異なる縮尺変更を行ってはならない。写真やイラストで地図の一部を覆い隠し、地図を不完全なものにしてはならない。
(3)上述の2点を確認した上で使用する。実務において、多くの企業が定期的に企業紹介、製品紹介の関連宣伝材料の更新を行っているが、重版時に、地図の審査をおろそかにすることが多く見受けられる。過去に処分を受けなかったことは、過去に使用した地図に問題がなかったというわけではない。潜在的な問題は、いつ爆発するか分からない爆弾のような存在である。
「地図の使用制限が多すぎて、広告のアイデアをつぶす。」等、一部の企業から指摘される問題は、「標準地図サービス」のウェブサイトにおける「セルフマッピング」を活用することで解決できる。もちろん、審査の基準や要求の制限を受け、最終的な成果が本来のアイデアの効果を完全に達成できないかもしれないが、それでもイノベーションの要求は大きく満たすことができるはずだ。